STORIES:OKUROJI

【Photographer's OKUROJI】#4
常陸の素材を味わいつくせよ

【Photographer's OKUROJI】#4<br/>常陸の素材を味わいつくせよ<br>
ストーリー

2020.12.14

この記事をシェア

写真家の在本彌生さんがOKUROJIを訪れ、撮影。彼女のフィルターを通して見た、OKUROJIの姿を写真とエッセイで綴ります。今回は『COOK BARN TOKYO』にフォーカス。

Photo & Text: Yayoi Arimoto

常陸の素材を味わいつくせよ

私たち人間も「いきもの」だけに、時には血の気が必要なこともあるとおもう。たとえ一日中PCとしか対峙せずに仕事していても、なにがしかの熱量は消費されていて、熱を代謝していかない限り、新しい細胞へのハンドオーバーはなされないのだから、生き物にはなにがしかのエネルギーが不可欠なのだ。社会人になったばかりの20代の頃の話、イレギュラーな恐るべき超過勤務の後、職場の先輩に食事に連れられて行くと「明日も夜勤だからね、体力つけなきゃ仕事にならないよ、こういうときは肉だよ!」そう言われて未明に肉を食することを勧められた。(あー、早く寝たい、疲れてヘトヘトなのに肉なんだ、、、)あまり気が進まなかったが、赤い牛肉をふた切れ食べた。するとどうだろう、程なくして血の巡りが良くなって、頭も体もシャキッとした。熱を身体に投入した感覚だった。若かったということもあるかもしれないが、そのくらい肉という食べ物は、食べ方によってはダイレクトに肉体に効く素材なのだと、それ以来私は信じている。自分の身体でもって実感したことなので殊更に教訓みたいになっている。

こちら「COOK BARN TOKYO」は土浦の老舗ステーキハウスが母体と聞いてなんとも納得。麗しき常陸牛、常陸豚、常陸で豊富に生産されている野菜や果物も巧みに調理し、五感に響く一品に昇華して、私たちに滋養を与えてくれる。

肉料理が看板の店にして、近頃はこちらで提供される果物をたっぷり使ったスイーツが評判になっているという、言ってみれば「誰にでもモテる店」というところ。なにせ良い素材が地元で手に入るだから、それは最大の強み。一見都会的なお店ながら、素材の質の良さに地元の多大なバックアップを感じられるのは好印象だ。

オープンキッチンなので、色艶美しい肉を焼くシェフ笹川 泰男さんの手際のよい調理と優しげな笑顔を眺めながら料理を待つのも楽しい。美味しい肉を食べたくなったら、そこはプロの焼き技に委ねたいもの。いい肉はたまのご馳走、だからお腹を空かせてこんな店でちゃんと食べて、心と身体の栄養にしたい。

Profile

在本彌生(ありもと・やよい)
東京生まれ。外資系航空会社で乗務員として勤務、乗客の勧めで写真と出会う。以降、時間と場所を問わず驚きと発見のビジョンを表現出来る写真の世界に夢中になる。美しく奇妙、クールで暖かい魅力的な被写体を求め、世界を飛び回り続けている。2006年5月よりフリーランスフォトグラファーとして活動を開始。雑誌多数、カタログ、CDジャケット、TVCM、広告、展覧会にて活動中。
http://yayoiarimoto.jp/photo/fashion/
 

この記事をシェア

関連記事

Page top